私はNetflixでは海外ドラマとか映画も見るのだけど、それと同じくらい見てるのが
である。
元々は殺人の未解決事件や冤罪の可能性もある事件などで犯人像を分析したり、状況や仏性などから推理していくタイプをよく見ていたのだが、最近はそういうことよりも
ということにより興味を抱いてドキュメンタリーを見ている。
今回は、そのうち4作品を紹介しようと思う。
「なぜ殺したの?」遺族がSNS(Myspace)で犯人を暴き出したケース
これは一番最近見たものなのだけど、現実の殺人事件でありながら、犯人を暴いていく話がまるでフィクションのようで引き込まれた。
殺された24歳の女の子の母親と従妹が、当時流行していたMyspace(SNSの走りと言われている。日本のmixiも笠原社長がMyspaceに影響を受けて創り出された)を使って犯人を炙り出していく行程が本人たちによって語られる。
同時に、この女の子はギャングの抗争に巻き込まれた形であり、彼らの住む地域の「ギャングとドラッグ」という、
という地域的な現実も浮き彫りにされている。
被害者の母自身もドラッグに冒されており、娘が銃撃された時もハイだったという。娘に何度もドラッグをやめてほしいと懇願されたのにやめなかったこと、
犯人を許すよりも自分を許すことの方が難しいかもしれない
と後悔に苦しむ母が、警察を信用せず自らMyspaceを駆使して犯人を突き止め、追い詰めていったのがまるで映画の筋書きのようで凄い。
「ザ・ステアケース 」世界法廷ミステリーでも取り上げられた事件
これは日本の番組「世界法廷ミステリー」でも取り上げられた事件。Netflixのこのシリーズでは実に13年もの間の裁判の変遷や家族、本人のインタビューを交えて追跡している。
「世界法廷ミステリー」では「フクロウの仕業だった(つまり犯人とされ投獄されていた被害者の夫は冤罪被害者だった)」と結論づけていたが、このNetflixの13エピソードからなるシリーズでは、それは一説に過ぎない。
当初から犯人と目されていたのは、ベストセラーも出したことがある作家のマイケル・ピーターソン。森の中の大きな家を、IT企業の副社長という超バリキャリな妻と2人で過ごしていた夜に、妻が頭部などに大きな損傷を負い、階段下で倒れ、死亡したという事件。
夫であるマイケルは「妻が階段から転落した」と救急に電話したが、血飛沫が一体に飛んでいる状況から殺人事件とされたのだ。
この夫婦は実子の他に養女もいて子沢山だったのだが、中でも養女が「父は絶対にそんなことしない」と庇っている。
ここまでは世界法廷ミステリーでも紹介された筋書きで、その中では
というのが真相として結論づけられていた。
しかし、この「ザ・ステアケース」はマイケル寄りの追跡ではあるものの、必ずしもそれが真相という描き方はしておらず、裁判もまだ決着がついていない。
そしてマイケルが犯人であると確信している被害者の姉妹が裁判で、この番組の名前も出して痛烈に批判するシーンもあり、かなり心に迫るものがある。
私は世界法廷ミステリーを見て「フクロウだったんだ、そんなことがあるのか」と素直に驚いていた事件だったので、この番組で呈される色んな状況証拠を見て、やはりマイケルが怪しいと感じてしまった。
実子の中でもマイケルの犯行を確信している娘もいる。
これは今後も裁判の行方を見守っていきたいが、何となく「証拠がないため無罪(ふくろう説を否定しきれない)」となってしまう気がする。
4度目の公判 ボストン警官殺人事件
これは昨今の”BLACK LIVES MATTER(黒人の命をないがしろにするな)”運動に通ずる事件なのだが、ある19歳の黒人少年が冤罪で22年も投獄されていた話である。
車の中で発見された遺体はボストンの白人警官で、射殺されていた。
この事件をめぐって、射殺した犯人とされる黒人青年の共犯として逮捕されたショーン・エリス。
彼はこの警官が殺された現場の前にあるドラッグストアで、犯行時刻に近い時間に頼まれてオムツを購入していた。
そのことを事情聴取で自ら進んで話しているショーン。彼は単なる事実としてそれを話し、またレシートの記録でも裏付けられた。
しかしこの事実をもって、彼は射殺犯と同等の犯人とされ、目撃者にも証言されてしまう。
しかしこれは、この事件のみならずこれまでも冤罪を仕立て上げてきた汚職白人警官たちの仕業だった…というもの。
アイルランド系の白人が支配してきた街で、何が起こっていたのか。
冤罪で22年、それも19歳からの22年という人生でも最も重要な時期を奪われてしまい、今は40代になったショーン・エリスと、彼を救った女性弁護士の語りが胸に迫るシリーズ。
「ザ・ファーマシスト」 息子を殺された薬剤師の父が、犯人を探し出すところから薬剤師の使命を全うするまで
これはなかなか異色の話であると思う。
きっかけは、ドラッグの売買がされている街で、車でドラッグを買いに出かけた23歳の息子が射殺されたこと。
薬剤師の父と母は絶望する。彼らはもちろん、息子が依存症になっていることを知らなかった。
警察には「あなたの息子はコカインの売人に金を払おうとしなかったから撃たれたんだ」と決めつけられ、ドラッグの売買でありがちなこととして真剣に捜査されている様子がない。
コカインを買いに、あんな街に行ったのだから仕方がないだろう、という態度さえ感じた父は、何としても犯人を見つけ出そうと自分で動く。
撃たれたところを目撃した、という少年を見つけ出したものの、手がかりにならずにいたところに、有力な目撃者に行き当たり、ついに真犯人を探し出す。
このシリーズでは、何とその真犯人自身も登場する。途中までは真犯人とわからない展開である。
そして有力な目撃者と、その葛藤(証人となれば裏切り者として報復される恐れがあった)なども描かれる。
そしてこのシリーズはこれで終わりではない。
息子が気付かぬうちにドラッグ依存症になっていた…
そして命が奪われたことで悲嘆に暮れる両親だったが、それは同時に薬剤師の父が若者とドラッグという問題に目覚め、
という使命感に燃えて
という話なのである。
何気なく見始めたシリーズだったが、この展開には驚いたし、実際にこうした
という感銘も受けた。
正直いうと、息子の犯人を追う、というところよりも、薬剤師としての使命感を追求していくエピソードはかなり感動するものがあった。
同時に、そのような悪が蔓延る状況にも戦慄の思いがした。実際に死者が出ているのだ。
ドラッグが蔓延る街、若者の依存症、そしてそれが違法ドラッグではなく処方薬にも及び、医師や製薬会社が自らの利益のために本来の立場を捨てて悪に手を染めている、そしてそれに立ち向かう一回の薬剤師ー
要素は揃いすぎるほど揃っている。
なまじフィクションを見るよりも、はるかに興味深く夢中にさせられる。
私、Kindleでこのような本を出しております。
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