これはタイトル通り、Netflixで配信されているドラマシリーズで今のところ、最もオススメの作品である。
私が勧めるまでもなく、これは配信されるやいなや、短期間での再生数での記録を更新するほど世界中で人気を博しているシリーズなのだけど、まだ見ていなくて、Netflixで何を見ようか迷っている人がいたら絶対これを見るべきです。
見ている途中で、あまりの面白さに両手をあげて歓喜してしまった
このシリーズは7エピソードしかないのだけれど、1話目の段階では普通に面白い、というか、まあこのまま見続けよう、と思う程度。
しかし2話目からグングンはまり、3話目ともなると
と両手を振り上げて一人で叫んでしまったほど面白い。その時点で
とシリーズの短さを思って、もう丹念に味わうように見た。
最後まで見て、自信を持って言えるのだけど、これはNetflixで海外ドラマを見るような人なら、誰もがハマるシリーズではないかと思う。
私はNetflixでは他にも

とか、またおフランスドラマとかにもハマったのだけれど、面白いと思わない人もいっぱいいることだろう。
でも、この「クイーンズ・ギャンビット」だけはNetflixを契約するような人なら殆どの人が飽きずに最後まで見るのではないかと思うのだ。
孤児になった少女が、チェスの天才ぶりを開花させていく物語
物語は1950年代のアメリカ。交通事故により運転していた母だけが死に、9歳のベスは取り残される。この母親は、1950年代にして女性ながら名門コーネル大学で数学の博士号を持っていたという、ベスがチェスの天才たる伏線がはられている。
この若い母とベスの実父の関係は「ワケあり」で、ベスを育てていく自信を失った母が突発的に自殺をはかったが、ベスは生き残ったものらしい。
そしてベスは、いわゆる「孤児院(養護施設)」で暮らすことになる。
そこでは大勢の子供たちを管理しやすくするためなのか、ビタミン剤とともに精神安定剤のようなものを子供達に配布して飲ませていたのだが、子供達の間で少しボスっぽい風格のあるジョリーンというアフリカ系の少女が、その場で飲むのではなく、飲んだふりをして取っておき、夜寝る前にまとめて飲むといい気分になるのだと教える。
ある授業中、問題を早く解いてしまって手持ち無沙汰なベスは黒板消しをはたきにいくよう命じられる。地下室の用務員部屋ではたいていたベスは、用務員のシャイベルが一人でチェスに取り組むところを見て、妙に心惹かれる。
そうした機会が何度か続き、ベスはチェスの駒の動かし方を把握してしまった。そこでシャイベルに、そのゲームのやり方を教えて欲しいと申し出る。
当初は「チェスは女の子のゲームじゃない」と本気にしなかったシャイベル氏だったが、相手にしてみるうちにベスの天賦の才に気づき、驚く。
そうして高校のチェス部に招待されて年上の少年たちを次々に負かしたりする日々、施設のある州で精神安定剤が子供に禁じられることになり、配給がストップする。
ベスは薬のある部屋に忍び込んだりするほど、子供ながら依存症になっていたー
この薬への中毒状態は、ベスという鬼才を描写する上での重要なものとなっている。
それからある夫婦に引き取られたベスは、当初は養母の理解もあまり得られない中、チェスの州大会に出る費用をシャイベル氏に頼み、何とか送金してもらって出場の機会を得る。
そこから彼女の快進撃が始まるー
というストーリーである。
面白さの要素:女の子がチェスで勝つ。
多分、これに尽きるのではないだろうか。
ただでさえ時代背景が50〜60年代。日本より女性の進出が早いアメリカにおいても、ジェンダーギャップは人種と同じくらい根深くあった時代において、年若い女の子が当初はバカにされながらも、年上の男性たちをたやすく負かし、ついには州のチャンピオンをも降参に追い込むという展開に小気味良く見ることができる。
さらに州とかアメリカとかいう枠を出て、当時チェスで圧倒的な強豪国だったソ連のチャンピオンと対戦するという、途轍もなくスケールの大きい話になってくる。
女の子をなめきっている男性陣の鼻をあかしていく経緯の中で、当初は彼らのベスに対する感情が嫉妬だったのが尊敬に変わり、応援していくようになるというのも、しっかりアメリカ的感動のノリが織り込まれていて良い。
やっぱり何だかんだ言って、そういうわかりやすいノリはいいものだ。何でもフランスものみたいに斜に構えて、見る人を悦に入らせてればいいってもんでもないのだよ、と年取って一周して思うわけ。
でも雰囲気的にはシニカル。このバランスは秀逸。
で、女の子とチェス、という話に戻ると、実際には女性でチェスの最高位は世界ランキング8位になったことのあるハンガリーのユディット・ポルガー。
この人は当時史上最年少でグランドマスターになったこともあるし、殆ど全ての世界トップ選手を破ったこともある、という人である。
2004年に出産してからは、あまり対戦の場に出てこなくなったようだけれど、ベスのような女性は実在はしている。
しかしやはり男女比率となると今なお圧倒的な差があるのは、ジェンダーギャップ(チェスに取り組む過程に社会的な性差がある)のせいなのか、それとも生物学的な差異なのか、という議論はあって、私の知人でフランス大会に出たことがある人は女性のいないところで
「女性はチェスに向かない」
と言っていたそうだ。彼は同じ理工系のエリート校を出た女性と結婚していて、その奥さんは投資銀行に勤めて彼よりずっと収入が高いし、全般的に男尊女卑な思考を持つわけではないと思うのだが、それでもチェスに関しては本音の部分でそう考えているらしい。
そうはいっても、ユディット・ポルガーという女性がいる限り、女性も世界トップクラスにいけるということで、今後ギャップが排されていけば増えていくのか、興味深いところである。
女の子のチェスプレイヤーの話といえば、この映画は実話を元にしているので、オススメ。
私、このようなKindle本を出しています。
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