私は海外暮らしをしていたので、日本にいる今も当時読んでいたニュースメディアをWebで読んでいたりする。
いわゆるタブロイドも読んでいるのだが、先日読んだ話があまりにも衝撃的でひどかった。
救いのない話なので、苦手な方にはお勧めしないが、現実に起こっていることである。

71歳の祖母が、銃で脅され3人の孫娘へのレイプを見るように強要されたあとショックで亡くなる。
これが記事のタイトルで、もうこれだけでどうしようもなく不幸である。
記事によると、南アフリカのクワズルーナタル県の都市インペンドルにある家に侵入者があり、その家の3姉妹、19歳、22歳、25歳が襲われた。
彼女たちはベッドルームに一度に引きずられ、閉じ込められ、恐れ慄いた71歳の祖母の目の前でレイプされた。
3姉妹とこの祖母は一緒に住んでいたという。
犯人は覆面をかぶり、銃で脅しながらこの凶行を起こした。
亡くなった祖母の息子(3姉妹の叔父)がスポークスマンとして語るには
「犯人は3人を祖母の部屋に閉じ込め、そして一人一人を出してレイプしました。我々がこの祖母を家で発見した時、彼女はすでに死亡していました。私たちは彼女がこの悪魔の行いを見たことで恐怖のあまり心臓発作を起こしたと考えています。被害者の3人によれば犯人は祖母の方には触れたり傷つけたりしていないということなので、そうとしか考えられません」
「私は母が心臓発作で亡くなったと考えています。なぜならこの恐ろしい犯人は彼女には攻撃してないからです。しかし彼は姪たちを部屋から引きずり出して一人一人、母の前で犯しました。」
「打ちのめされた姪たちにとって、正義がない。この場合、レイプ犯は私の母がショックと恐怖で倒れたのを見ていながら、犯行を続けました。ヒューマニティはどこに?」
ロックダウンで増える性犯罪
県の社会発展委員会のメンバーは逮捕につながる情報の提供を呼びかけている。
警察長官のブヘキ・セレ氏とジェンダー活動家たちは、コロナウイルスに対するロックダウン中に女性や子供に対する性暴力の急激な増加について問題提起した。
6月初めには、シリル・ラマポーザ大統領が、南アフリカにおける「女性と子供が被害となっている殺人の急激な増加」が、アルコールの販売が再び許可されてから起こっていると批判した。
6月1日に、販売店やスーパーマーケットが月曜から木曜の限られた時間帯にアルコールの販売をすることに再び許可がおりた。
ラマポーザ大統領は、アルコールの再販と関連づけられる、女性や子供に対する一連のレイプや殺人について、国家に対する「ダークで恥ずべきこと」と表現した。
「我々がパンデミックによる重大な脅威に晒されている時、暴力的な男たちが制限の緩和を女性や子供を襲うことに利用しているということに嫌悪を覚える」
「男性として夫として、そして父として、この我々の社会にある女性や子供に対する戦争とも言うべきものに戦慄している。我々は緊急にこの問題に取り組まなければならない」
そして大統領は、現在、男性の手中で女性や子供たちに南アフリカで起きていることを「パンデミックの中でのパンデミック」と描写した。
南アフリカは世界でも有数の性犯罪大国で、昨年は2700人以上の女性と1000人以上の子供が殺され、42,000人以上の女性がレイプされている。(南アの人口は約5800万人)
アルコール禁止が解かれて以来、女性への恐ろしい攻撃が多数起こっている。
ヨハネスブルグでは28歳の妊婦が胸を繰り返し刺され、木に吊るされて死亡しているのが発見された。
ケープタウンでは27歳の3児の母が7歳の娘とともに惨たらしく刺殺されているところを彼らの家の倉庫で発見された。
また別の地方では25歳のビジネスウーマンが斧と槍を持った男によって斬り殺された。
また6月下旬には17歳の女生徒がケープタウン近郊の地域でレイプされ殺された後に住宅地近くの土地に捨てられている遺体となって発見された。
日本は本当に「性犯罪が少ない」と安心できる国なのか
この南アフリカの惨状をもって
と本当に考えることができるだろうか。
もちろん、南アよりずっとマシであることは事実だと思う。
しかし何故か日本では他国と比較して
というような論調が根強いことに非常に失望してしまう。
私はヨーロッパで2カ国に暮らしたことがあるが、それらの国は統計上は性犯罪率が日本よりだいぶ高いということになっている。
しかし、実感として
と思えるのだ。
私は少女期に満員電車の中で当然のように痴漢にあってきたし、それはクラスメートも同様だった。
しかし私たちはそれを訴えることも、その場で怒鳴りつけることもできなかったし、事後に親や教師に報告することもできなかった。
なぜなら、「自分たちが、弱い存在であり」、「それを利用され」「気持ちの悪い男の性欲のはけ口にされた」ということに直面できなかった。
特に親に言えば、彼らは自分が生まれた時から大事にしている子供がそのような目にあったことに非常に傷つくだろう、ということが怖かった。
それでクラスメート同士で、さも軽いことのように「今日も痴漢にあった、最悪」と言い合うことで精神の崩壊を食い止めてたのだ。
痴漢なんか、大したことないだろう
と思うかもしれない。
だけどおそらく私が暮らしたヨーロッパの国では、それらは立派に性犯罪として数えられるし、女性が声を上げることへの抵抗感は日本よりずっと低いと感じる。
多くの男性が、女性がそんなにも痴漢に遭遇することに懐疑的で、女性専用車両などにも反発しているのだが、その理由が
という感覚なのだと思う。
そういう人に聞きたいけれど
ほとんどの男性が痴漢などしない、したこともない、というのは事実だと思う。
しかし少数存在するだけでも多くの女性が被害に遭うのである。
そこへの理解があまりにもなされていないと、私は思ってしまう。そしてなぜかそのことと、妙な愛国心が重なっている気がしてならない昨今である。
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