1992年に福岡県飯塚市の小学一年の女の子が2人、連れ去られ、翌日遺体となって見つかった事件。
2年後に容疑者が逮捕され、死刑判決が出て2008年に執行されたが、冤罪だったのではないかと定期的にテレビが特集する。
先日はNHK BSで放送されていたが、民放並みに弁護士の主張通りの放送をしていた。
民放が視聴者の興味をそそるために、そのような偏向報道をするのは理解できるのだが、NHKがそういうことをするのではどうしようもないと感じる。
私も当初はそういった主張に騙されて冤罪だという印象を強く持ったが、判決文を頑張って読んだら、これは決して足利事件のようにMCT-118型という精度の低いDNA型鑑定だけで判断されたものでもないし、今回再び注目する八丁峠の目撃証言だけで容疑者が絞られたわけでもない。他にも数々の状況証拠があり、弁護側の主張や争点も含めて全方位的に検討された上での判決なのである。
私も権力の不正には断固抗議していきたいが、ない「不正」を作り出して理不尽な糾弾を巻き起こすというのは世間を撹乱しているだけであり、これでは本当に糾弾すべき不正などが人々の目から逃れる隙を作るだけだと思う。
そういうわけで、判決文をきちんと読まずにテレビなどの偏向情報を鵜呑みにしてる方に、判決文を読んでわかることを書いて、少しでも理解を深めていただきたいというのがこのシリーズの趣旨である。
さて、八丁峠の目撃証言については

既に書いたのだけれど、この記事を読んでくれた友人から寄せられた話を書いていきたい。
目撃者として調書を取られた人の話
上記の記事を読んでくれた人が、
「読んで思い出したんだけど、結婚する前に旦那が強盗車両を見たかもしれなくて、調書も取られたと言ってたから聞いてみた」
と色々教えてくれた。パチンコの両替所に強盗が入ったが、その前のマンションのベランダで煙草を吸いながら上から不審な車両が停まっていたのを見た、という話だという。20年以上前の話らしい。
景品換金所からだとぐるっと回らなければならないところに停まっていた車で、そこで交換をする人(縛られてたとか)は車を目撃できないけれど、上からだと見えた、という構図らしい。
当時大学院生だった旦那さんは研究室に夜通しいてから帰宅して、午前10時ごろという時間にベランダで煙草を吸っていた。
4階から見ただけなのだが、そこが住宅地の中にある両替所だと知っていたので、なんとなく眺めたところ、その裏手に車が停まっていて、駐車場でもないし変だなと感じて十秒か二十秒か見ていたらしい。しかし夜までやってるのに午前中から強盗とまでは思わず、そこまで怪しんだわけではないらしく、煙草を吸い終わる頃だったのですぐ部屋に入ったらしい。(ただよく考えると現金は午前中の方が用意されているからおかしな話ではないわけである…)
旦那さんは2回聞き込みされて最後には警察署で調書を取られたと言うので、その経緯はかなり参考になった。
こうして証言は回を追うごとに詳細になる
八丁峠の目撃証言でおかしい、と弁護団が主張していることの一つに
というのがある。最初は「紺のワンボックスカー」というくらいだったのに、徐々にダブルタイヤ、後ろにフィルム、ラインはなかった、などと情報が増えたので、おかしいという話である。
彼女の報告は、その疑問をクリアにしてくれるものだった。
旦那は数時間後にパトカーが停まって事件が起きたみたいになってるのを見て、テレビをつけたら夕方のニュースで少し流れて、車のことが蘇ったみたい。でも、現場にいる警察官に話しかけるような雰囲気ではないし、関係ないかもしれないからちょっと悩んで友達に言ったりしてたみたい。
何日かして偶然近所のお店(住んでたマンションの隣のマンションの1階に入ってた店舗)に聞き込みしてるところに通りがかって、そのお店のご主人とも顔見知りだから便乗して言ってみたらしいよ。最初は「そうですか、どんな車でしたか」って質問だけで、あとはマンションの部屋番号とか旦那の情報の質問が多かったみたい。学生なのに学校行かずに在宅してたのはなぜかとか。その時旦那は思ったより自分のことを訊かれて、ちょっと微妙な気分だったみたい。
それから二日くらい経って、ピンポーンときて、最初の警官と制服じゃなくてスーツの警官だか刑事がいて、もっと詳しく車の特徴を聞かれたらしいよ。しかもベランダに入らせてと頼まれて、そこからの写真も撮っていったらしい。そしたら大分経ってから警察署で調書取らせてもらえないか、ってきて、大学への通り道だから1時間以内で済むならいいですよ、って応じたみたい。その時にもっと詳しく聞かれたらしいよ。
なるほどという感じである。
最初は「どんな車でしたか」って聞かれたから、「黒のジープだと思いますよ」って言っただけだけど、2回目は「ジープという車なのか、国産にも似た型のがあるけど、車種までわかるか」って訊かれたから「多分チェロキーだと思います」って言ったんだって。
2回目からか警察署でか忘れたけど「サイドモールがあった」とも言ったらしい。それで「4階から見て分かりました?」って訊かれて、自分でも「確かに」と思ったらしいよw
でも友人がチェロキーに乗っててサイドモールがあったから、その車をよく見た時点で写真記憶みたいにそこも頭に残ってたみたいよ。
なるほど、というわけである。回を追うごとに詳しく訊かれるようになってるようである。しかも警察の方から「4階から見てサイドモールがあるかわかるのか」という疑問を呈している。
というか、おそらく有用な目撃者だと思ったから2回目の聞き込みがあり、そこで更に決定的な目撃証言だと判断されて警察署で調書を取られたのだと思う。旦那さんも20年以上前だけれど、
他にも黒のジープの目撃者がいたみたいなことを言ってたらしくて、旦那は、あぁ、だから自分とその人の信憑性が互いに高まって、また聞きに来たんだなと思ったって言ってる。
これはわかる気がする。というのも昔、友人が、自分の住んでいるマンションに空き巣が入ったとパトカーとかが停まっているのを見て、やはり怪しい車と人物を見たみたいなことを進言したけど相手にされなかったみたいなことを言っていた。ちなみに私も国が違うから関係ないけど、英国で同じような経験がある(苦笑)一時的に住んでいた大学寮に空き巣が入ったらしいんだけど、その日寝てたらフラットの共有玄関をぶっ叩く音と男がなんか言ってる声がして、共有部分の清掃の人かな?と思いつつ無視したという。警官に言ったけどハイハイみたいな感じで相手にされず。絶対犯人じゃね?と思うんだけど私。まあ声聞いただけだが
とりあえず事件が起きると自称目撃者というのは多く出てくるから、一旦精査して、本当に事件に関係のありそうな目撃をした人に2階目の聞き込みがあるのではないかと思う。
八丁峠の目撃証言も、最初に警官が聞き込みに来た3月2日の時点では、目撃者も口頭では正確な地点を述べることはできないから(名前ある地点ではない)、警官の方もとりあえずの質問をしただけなのではないかという気がする。
警察官の質問が調書に残らず、回答だけが残る→だから不自然に見える?
そして友人は
「トヨタや日産ではない」「ラインはなかった」っていうのどう思うか聞いてみたら、旦那は警官の質問に答えてるだけじゃないか?でも誘導ってわけじゃないと思うって言ってた。
とも教えてくれた。つまり、
というわけである。というのも旦那さんも
旦那も「ラインなどはありましたか」って聞かれて「ラインはなかったけどサイドモールはあったと思う」って言ったらしいよ。調書の文面を正確には覚えてないけど、「ラインはなかった」って自発的に言ったみたいに書かれてたような気がするって。
ということである。旦那さんもラインがあったかないか、意識的に考えたわけじゃないけど、質問されれば改めて情景としての記憶を思い出し、「ない」と思ったということだろう。
とりあえず「回を追うごとに詳しくなる仕組み」「トヨタや日産ではない」「ラインはなかった」という言い方についての疑問がクリアになる話ではないだろうか。
***
ちなみに旦那さんは当時大学院生で、自分はバイクで通学し、周囲も持っていても軽自動車か、親の車を使っているかなのに、金持ちのボンボンがチェロキーという外車を買ってもらっているので、ケッと思いながらもよく見て特徴が頭にあったらしい。
研究室に泊まり込んで疲れた状態で煙草を吸いながら、何とはなしに見ただけで、強く意識したわけではないけどチェロキーを知ってたから記憶に大きく働きかけて、絵として残った部分が大きいみたいである。

こういうkindle本出してます!
コメント
証言は調書で、午前と午後で違っていて、「3月4日の捜査報告書が、午前と午後に分かれている。午前はワゴン車と言っていたものが、午後になると突然ボンゴ車と供述内容が変わるんです。ボンゴ車というのは、マツダが、自分のところのワゴン車につけた名前です。だから、ボンゴという言葉が出てくると、マツダに限定されるわけです。こんな捜査報告書ができた上に、午後の調査報告書には、なんとマツダのウエストコーストの型式がずらーっと載っている」
この辺も出してから、どういう証言であとへ行くほど詳しくなったのか、考察してみてください。
本来記憶だけで特徴を証言させるべきだと思います。あるいは当時運用されていた自動車のすべてを並べるなどの方が誘導を思わせない調書になりますね。
反対意見は掲載しない?討論しない?
既に書きましたが、あなたは出禁です。あなたという一人の人にコメントするのに、私は少なくとも何時間も費やしています。
私という全くの赤の他人に、タダでそこまで時間を使わせるということに悪びれもせず、しかも既出のことを何度も聞かないでください。
当初、警察はTさんがどこでその車両を見たのかはっきりしませんでした。
同じ八丁峠でも何キロも続く道で、どこに停車していたのかを示してもらうためにTさんに先導してもらって案内してもらったのが3月4日です。
それが、ドンピシャで遺留品が見つかった崖上の、投げ捨てたであろう地点でした。
これは間違いないと考えて詳しく聞くことになったのは当たり前だと思いますね。
しかもそこで弁護団は事実を曲げていますね。
Tさんの言ったことは何種類もあるマツダのボンゴ(ワゴン車)に共通する特徴のみです。ウェストコーストにつながるようなことは出ていません。
私は何度も書いてますが、車種に詳しいTさんはむしろウェストコーストと思っていなかった節があります(ラインがないから)。
供述調書を取られる際は、カタログや写真が用意されていると思います。私の知人の経験を話しましたが、コメントなどでも経験を語っていただいています。
Tさんはウェストコーストのカタログを見て「これではない」と思って「ラインはなかった」と言ったのではないかと知人も言っています。
ウェストコーストと断定するのは、繊維鑑定だけです。
これも、弁護団が車両特定があたかも八丁峠の証言のみでなされたという作り替えたストーリーの一貫ですね。
何度も書きますが、あなたは出禁ですので、今後一切かかわらないでください。
あなたの「警察が憎いので、冤罪であってほしい」願望につきあい続けられません。